教室を飛び出して「教会めぐり」!

文化史学科研究室です。


ここ数回、ブログで「文化史学科の学び」の紹介を紹介しています。

文化史学科ではどんなことが学べるのか?
授業の雰囲気は?
担当の先生はどんな人?
と、受験生の皆さんは気になりますよね!


坂田奈々絵先生(聖書学)より2年生の選択必修科目「文化史入門演習・聖書学」の授業で開催された「教会めぐり」の報告が届きましたので、ご紹介いたします!


***

(写真1)Catholica表紙。
講読時は日本語版がありませんでした
(2月20日に日本語版発売)


2年生向けの文化史学入門演習(聖書学)では、Suzanna Ivanicの “Catholica: The Visual Culture of Catholicism” (Thames & Hudson, 2022)を講読しています。(写真1)
大聖堂から入れ墨まで、様々なカトリックの物質文化をまとめたとても面白い本ですが、やはり実際に見ないとわからないこともたくさんあるものです。
そこで今回は、1月21日と28日に、二部にわけて自由参加の教会建築見学会を行いました。
どちらも自由参加でしたが、多くの学生が参加しました。


21日 第一部:碑文谷教会&田園調布教会

碑文谷教会は1954年に献堂された聖堂です。
トリノで設立されたサレジオ会という修道会によって運営されており、イタリアから輸入された大理石の調度やステンドグラスが聖堂を華やかに彩っています。(写真2)
今回は特別に、聖堂の二階から写真を撮影させていただきました。
天井に描かれたフレスコ画は、一人の修道士によって描かれたものだそうです。
学生たちはCatholicaやキリスト教美術の講義で得たシンボリズムの知識をもとに、聖堂の様々な装飾を読み解いていました。

(写真2)二階からみた碑文谷教会内部


住宅街を15分ほど歩き、東急東横線に乗って多摩川駅へ。田園調布教会にむかいます。
田園調布教会の現在の聖堂は1937年に増築されたものです。
イタリアのアッシジで設立されたフランシスコ会の修道院を併設する閑静な佇まいの教会ですが、太平洋戦争中はイタリア大使館員の軟禁所となるなど、波乱の歴史もありました。
閑静な住宅街の中に悠然とそびえる聖堂の姿は、アッシジにある聖フランチェスコ大聖堂を思わせます。
その内装は碑文谷とは異なり、白を基調とした非常にシンプルなものです。(写真3)

(写真3)田園調布聖堂正面(Y.T.さん撮影)

第一部はどちらもイタリアに縁のある教会をめぐることとなりました。

おなじカトリック教会で、またイタリアと関係があっても、教会によって雰囲気がまったく違うこと、同時に基本的な聖堂の設備は共通していること、教会に施された様々な装飾や意匠の意味を学んでもらえたかと思います。


28日 第二部:関口教会&築地教会

関口教会は東京大司教区の司教座聖堂(カテドラル)です。
丹下健三によって設計され、1964年に献堂された現聖堂は、現代建築の傑作としても有名でしょう。(写真4)
(写真4)関口教会正面
モダンなデザインが目をひきます


今回は丹下健三のプランを参考にしながら、敷地入り口からルルドの泉に行き、そして聖堂正面口へとゆっくりと回りました。
学生たちはまず、ルルドの泉や「ジョセフィーヌ」という鐘の形状やそこに書かれた文字を観察し、読み解いていました。(写真5)(写真6)
聖堂ではちょうどオルガンの練習も行われており、オルガンの音色と、教会建築独特の残響を体験することもできました。
また普段ではあまり見られない、聖堂地下のクリプタと地下墓所も見学しました。キリスト教の墓地の佇まいは、学んでほしいポイントの一つです。

(写真5)ルルドの泉


(写真6)築地教会から運ばれてきた鐘
「ジョセフィーヌ」

続いて有楽町線に揺られて築地教会へ。

築地教会は明治期に東京では一番はじめに造られたカトリック教会で、かつては司教座聖堂でした。とはいえ、当初建造されたネオゴシック様式の聖堂は関東大震災により崩壊してしまい、現在の聖堂は1927年に献堂されたものです。
ドーリア式の列柱が立ち並ぶ、古典ギリシア風の美しい教会です。(写真7)

(写真7)築地教会正面


教会には資料館も併設されており、教会の方の説明とともに、キリシタン高札の現物などを見ることもできました。(写真8)

関口教会にあった鐘ジョセフィーヌの姉妹、「江戸のジャンヌ・ルイーズ」にも対面。許可を頂いて音も鳴らしました。(写真9)

(写真8)説明を聞く学生たち


(写真9)江戸のジャンヌ・ルイーズ

築地は明治期に外国人居留地がつくられた土地でもあり、築地教会のすぐ向かいの聖路加病院には、聖公会の宣教師トイスラーの住んだ館もあります。

第二部では新旧のカテドラルを訪問することで、建築だけでなく、東京のカトリックの歴史、そして明治期の日本と外国の関係を辿る会にもなりました。


写真出典
写真1、4、7、8(坂田先生撮影)
写真3、9(Y.T.さん撮影)
写真5、6(N.K.さん撮影)

*特に教会内部の撮影については、教会の方の許可を得て行われました

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