日本文化史講義4・日本文化史特殊講義Ⅳb 授業内講演「旧島津家本邸」

 文化史学科研究室です。

ご講演中の古郡氏

日本文化史講義4・日本文化史特殊講義Ⅳb(どちらも同じ科目です)の授業では今年度でご退職される狐塚裕子先生が「島津山と清泉女子大学 」というテーマで授業をおこないました。

清泉女子大学のキャンパスは、かつて袖ヶ崎と呼ばれ江戸時代には仙台伊達藩の下屋敷でした。
明治維新後は元鹿児島藩主島津家の所有となり、大正期にはコンドル設計による洋館が建設されましたが、太平洋戦争末期には島津家の手を離れました。
戦後、GHQの宿舎、日銀の倉庫時代を経て、清泉女子大学の所有となり、60年が経過しました。
授業では由緒ある島津山の歴史を振り返りました。


1月20日(金)の授業では歴史ある、そして、学生さんたちの学び舎でもある旧島津家本邸についての授業内講演が開催されました。

講師は管理課の古郡信幸氏(文化財・施設設備コーディネータ)。
教室で古郡氏による旧島津家本邸の修理・改修を中心に講義を聴きました。
その後、場所を旧島津家本邸へ移し、屋根裏部屋の見学を始め、修理・改修された場所を実際に見て歩く本館見学ツアーが開催されました。


本館見学ツアー

 ガイド:古郡信幸氏

 参加者:日本文化史講義4・日本文化史特殊講義Ⅳb受講学生28名
     狐塚裕子先生、中野渡俊治先生(専門:日本史)、文化史学科研究室助手

ツアールート

*旧島津家本邸は本館として大学関係者に親しまれています。
 ルート紹介では「本館」という名称でご案内いたします。

補修したタイルについて
説明する古郡氏
①本館外側 聖堂外側のタイル

本館を覆っているタイルは白ではなく、ほんのりクリーム色をしています。
2015年におこなわれた工事では、タイルを一枚ずつコンコンと叩き、接着面に生じた空洞の有無を調べました。あわせてタイルの破損状態を目視で確認し、約2,000枚のタイルを貼り替えました。
実際にタイルを見ましたが、古びた色合いに作成したため、素人的には当時のタイルと補修したタイルの見分けがつかないほどでした。


 

②本館1階と1号館1階の連結部

今は通路となっている本館と1号館の連結部には窓がありましたが、これを撤去して通路をつくりました。
聖堂扉の上にあるレリーフの外枠のみを制作し、これを連結部の扉上に設置することによって、周辺とのデザインの統一を図っています。 

聖堂入り口 扉上

1号館への通路 扉上

屋根裏の窓から奥庭の
ふうの木が見えました。
窓の上には「OFF LIMITS」と
書かれた札が残されています。
③本館屋根裏

本館奥に上まで階段が続いているように見える「飾り階段」があります。
実は、屋根裏に登るための階段が隠れています!
屋根裏は木の梁がむき出しとなった空間が広がっていました。想像していたよりも天井が高く、ビックリしました。
耐震工事の時に追加された真新しい補強材もありますが、ここだけ時が止まっているかのように感じました。

 

屋根裏へとつながる階段


④本館正面玄関扉

ステンドグラスが美しい、本館の正面扉。この扉は普段、開閉が制限されています。
扉にはめ込まれたステンドグラスを破損から守るため、慎重に扱われています。
玄関ホールの上に設置された照明ですが、これを点灯させた状態で本館玄関の外側から扉上部のステンドグラスを見上げると、照明光が重なり、丸に十字の島津家の紋が輝いて見えます!
駐車場のとある地点に立つと
島津家の紋が輝いて見えます

正面玄関扉について説明を聞く
学生たちと特別参加の中野渡先生


⑤本館1階階段下のトイレの壁

本館1階から2階へ続く大階段の後ろにひっそりとトイレが設けられています。
このトイレの改修工事をおこなった際、同時にステンドグラスがはめ込まれた壁も撤去されました。
この壁、現在は学長室の給湯室を囲む衝立として使われています。
また、トイレ側の壁を新設した際、周囲の壁と違和感が生じないよう、木彫のデザインが統一されましたが、オリジナル部分の木彫りよりも彫りが浅くなっています。
ぜひ、触って確かめてみてください!  
学長室へ続く通路に飾られた
ステンドグラス


⑥聖堂内の痕跡

現在の中庭付近には使用人の方が使っていた日本家屋が建っていたそうです。
その日本家屋と本館を繋ぐため、渡り廊下が新設されました。
もちろん現在の中にはには日本家屋は建っていません。かつて存在した渡り廊下の接続痕と扉が、本館西側に残っていました。

***


まだまだ見どころ満載の旧島津家本邸。

ぜひ、皆さん自身でそれぞれの場所を探してみてください!



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