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シリーズ!「死生学」授業内講演①

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 文化史学科研究室です。 文化史学科では宗教学・哲学・美術史学・医学・法学・社会学にまたがる死生学の概要について学ぶ「死生学」(担当:井上まどか先生)の授業が開講されています。 昨年度に引き続き、授業内講演が開催されました。講師は東京大学名誉教授の鶴岡賀雄先生。鶴岡先生は井上先生の師匠でいらっしゃるそうです! ご講演中の鶴岡先生 授業を受講している学生さんから感想が届きましたのでご紹介いたします。 *** 今回、鶴岡先生の授業内講演を聴き、「死」に対する考え方が少し変わりました。 私は、ある時から「死」に対して異常なほどの恐怖心を抱くようになりました。「死」について考えると、生きていることへの恐怖さえも感じてしまいます。例えるなら、「死」という沼に、一度でも墜ちてしまうと、奥底に引き込まれ、抜け出せないような感覚です。このようなことを、考えないでいる時は、幸せですが、一度でも考え、その沼に墜ちてしまうと、現実に戻ることが非常に難しいです。 そんな私ですが、今回の講義を聞き、「死」に対する恐怖心というのが少し軽減されました。例えば、本当に死ぬということは、誰からも忘れさられた時であるという言葉です。私は、死ぬことはとても怖いです。以前は、死んでしまうと、自分の目の前に二度と現れることはなく、会いたくても会えない存在になるから怖いと思っていました。ですが、世の中の誰からも、自分のことを忘れ去れることが、「死」であるということならば、直接的に会うことは出来ないけれども、誰かの記憶の中で忘れられるまで生き続けられるならば、「死」ということは怖いことではないかなと思うようになりました。 (文化史学科3年 Sさん) 鶴岡先生の授業の中で、「死後」のイメージについて考えるというものがありました。 クラスの学生さんの意見には、「死んだら終わり(であってほしい)」「眠るようなもの」「魂のようなものになる」というものや、宗教が提示している死後の見方などがありました。 自分は「死後は肉体は原子に戻り宇宙の一要素となり、いつか何かを構成する何かになる」というイメージだと思いました。ただ、これは現実的なイメージであって、理想の「死後」(のイメージ)は、何でもできる幸せな場所にある洋風の庭のある家で、毎日静かに、楽しく暮らしたいというものもあります。 リアクションペーパーを見て、自分では思いつ

12月20日は・・・卒業論文の提出締切日!

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 文化史学科研究室です。 2022年12月20日。 文化史学科4年生にとって、この日は特別な日でした。 そう、4年間の集大成である「卒業論文」の提出締切日だったのです! 卒業論文と向き合う4年生たち 図版を取り込んでいます 12月に入ると文化史学科研究室にもたくさんの4年生が訪ねてくるようになりました。 パソコンに向かって、ひたすら卒業論文を書く学生さん スキャナを使用して図版を取り込む学生さん Wordの設定を見てもらっている学生さん そんな4年生の姿は輝いて見えました。 時には仲間と語り合う姿も見られました。 そして、様々なドラマが生まれた12月20日。 前日の賑わいが嘘のように静かな午前中が過ぎました。 午後になると少しずつ学生さんたちも集まりはじめ、最後の最後まで念入りに自身の卒業論文を確認していました。 指導教員の元で提出時間ギリギリまで執筆に励んだ学生さんもいたようです。 4年生の皆さん、卒業論文の執筆お疲れさまでした! 研究室に立ち寄られた先生に質問する学生さん

来年度に向けてのガイダンス

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  文化史学科研究室です。 今年も来年度に向けての学年別ガイダンスが行われました。 11月初旬の3年生ガイダンスからスタートし、2年生、1年生…と学年ごとに大教室に集まって皆で説明を聞きます。 ガイダンスの内容は、1年生と2年生は来年度の専攻について。 文化史学科では西洋・東洋(主に東アジア)・日本の3つの文化圏の、4つの専門分野(歴史学、美術史学、哲学・思想史学、宗教学宗教史学)から自分の研究テーマを追求します。 1年生は、2年生からそれぞれの専攻に分かれることを踏まえ、先生方からそれぞれの分野について話を聞き、どの専攻の入門演習を選択するか考えます。 (絞り切れなければ複数の分野の入門演習を履修することも出来ます。) 2年生は、実際に入門演習を受けてみて、3年生はどの専攻の演習を履修するか考えます。 複数の分野に興味があった人も、だいたいの方向性を絞っていく時期になります。 3年生の演習は、2年生の入門演習よりさらに時代区分や地域が細かく分けられ、専攻した分野についての理解を深めていきます。 そして同時に4年生で卒業論文を執筆するための準備もしていきますが、論文を読んだり、発表をしたり…先生ごとに進め方は少し異なるようです。 このガイダンスでも先生方が、どのような内容で演習(ゼミ)を進めていくのかを説明してくださいました。 3年生は卒論ガイダンスです。4年生になった時にどの先生の指導を受けて卒業論文を執筆するか、を考えます。 また、卒論のテーマ決め~執筆~提出までの残り一年間の流れについての説明も行われました。 文化史学科は卒業論文を執筆しないと卒業することはできません。3年生たちは真剣に先生方の話に耳を傾けていました。 以上が今年度行われたガイダンスの概要です。 ガイダンスの限られた時間では分からなかった点や、時間が経ってから疑問が湧いてきた点、話を聞いても決められない・悩んでいる点があれば先生方に相談することが出来ます。 実際に履修登録をするのは来年度になってからですので、ぜひそれまでにあらためていろいろ考えたり、先生方や先輩などから話を聞いたりして、来年4月に向けてじっくりと検討する時間となってくれれば良いなと思います。

平和学 授業内講演

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 文化史学科研究室です。 文化史学科の選択科目「平和学」の授業は、歴史的なアプローチをとおして戦争や貧困など平和の問題を考える授業が行われています。11月16日の授業では、国際協力機構(JICA)専門嘱託の木村健二さんを招き、授業内講演が行われました。 講演は「人間の安全保障を考える:東南アジアの家事労働移民、人身売買の事例から」というタイトルで、マレーシアに渡ったインドネシア家事労働者の具体的な事例を紹介しながら「人間の安全保障」が求められてきた経緯や概念について説明がなされました。特に、「人間の安全保障」が焦点を当てている脆弱な人びとの中でも、貧困や女性、外国人といった脆弱性の複合的な側面について学びました。 木村さんは、オランダのエラスムス大学ロッテルダム・社会科学大学院大学で博士(開発学)を取得するともに、外務省や難民支援NGOなどでも勤務経験があります。この日の講演では、アカデミックな概念の解説とともに、移民を支援するNGOの活動紹介や日本でできる支援などについても話がありました。 ご講演中の木村氏 学生さんからの感想も届きましたのでご紹介します! 人間の安全保障とは、人間一人ひとりに着目し、生存・生活・尊厳に対する広範かつ深刻な脅威から人々を守り、それぞれの持つ豊かな可能性を実現するために、保護と能力強化(エンパワーメント)を通じて持続可能な個人の自立と社会づくりを促すという考え方です。 今回の講演会では、特に人間の安全保障を必要とし、複合的な脆弱性をもつ、東南アジアの女性家事労働移民について学びました。 東南アジアでは、女性の社会進出により家庭の担い手がいなくなり、代わりに外国人労働者を住み込みで働かせるということがあります。この外国人労働者は家事労働移民と言われ、東南アジア国々は国策として移民の受け入れや送り出しが行われてきましたが、女性家事労働移民が抱える問題は非常に深刻です。 今回の講演会を受けて、海外の問題であると他人事にするのではなく、日本でも起こりうる身近な問題であると捉えて考えることの大切さを痛感しました。 (文化史学科4年 Sさん) 平和学の授業がおこなわれている140教室