羽ペンを使って羊皮紙に文字を書こう! 写字生体験会開催

 文化史学科研究室です。


5月23日(木)31日(木)、6月6日(木)の3日間、文化史学科研究室では「写字生体験会―ゆるっと中世パレオグラフィー教室―」が開催されました。

講師は坂田奈々絵先生(聖書学)。

左:写字生について説明する坂田先生
右:学生と一緒に話を聞く中野渡先生

「中世の文字と文書の文化に触れてみよう!」ということで、中世西ヨーロッパの文房具事情や書体、また写本に用いられる略号の初歩を学び、羽ペンや葦ペンで羊皮紙やパピルスに文字を書くというイベントです。

中世の修道士になった気分で羽ペンを使い羊皮紙に文字を書く!なかなか体験できない…ということで、多くの学生さんが参加していました。貴重な体験となったのではないでしょうか。

体験会の様子をご報告いたします!


写字生体験会で使用する道具

写字生体験をするために必要なのは紙とペンです。それぞれの道具について説明がありました。

「紙」

古代末期から中世初期にかけて、ヨーロッパでは、文字を書くための紙がパピルスから羊皮紙に次第に変化していきました。パピルスの主な生産地はエジプトでしたし、耐久性の問題もありました。巻物には適していたパピルスでしたが、パラパラとめくる冊子に用いるには不向きだったのです。そこで、動物の皮を原料とする羊皮紙が使われるようになりました。
今回は「子牛」「羊」「ヤギ」の3種類の羊皮紙とパピルスが用意されました。
ちなみに、一番高級な羊皮紙は「子牛」とのことです。中世の時代、羊皮紙はどれも高価で、図書館の本は鎖に繋がれていたとか!

「ペン」

ガチョウの羽を使った羽ペンを使い、文字を書いていきます。
この羽ペン、時代や場所によって羽部分のボリュームが異なるそうです。羽ペン=ふさふさした羽が付いている!と思っていたので、羽が短く切られていることに意外性を感じました。
羽ペン以外にも葦ペンや金属製のつけペンも登場し、書きごごちを比べてみた学生さんもいたようです。

「インク」

「虫瘤インク」という、オークなどにできる虫瘤や、硫酸鉄などから作られたインクを使用しました。
文字を書いてみると真っ黒ではなく、茶色みががかった、綺麗な色の文字が浮かび上がってきました。



写本に関するレクチャー 

カロリング朝以前の写本は、現代で言う「大文字」だけが使われており、単語と単語の間にスペースがあいていなかったことや、写字生たちがどのように写本を書き写していたのか、写本に用いられた省略表記のことなどを学びました。

そして「初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。」(ヨハネによる福音書1章1節)という言葉が、ギリシア語で書かれた『シナイ写本』とラテン語で書かれた『ゴデスカルクの福音書』のどこに記されているのかを探すミニクイズにも挑戦しました!

皆さん、発見できましたか?

ミニクイズに挑戦中の学生たち


羊皮紙に文字を書こう! 

学生さんたちは中世の写字生になりきって羊皮紙に聖書の言葉や好きな言葉、イラストを描いていました。

羊皮紙は記念に持ち帰ってもらいました!

5月30日の回には桃井治郎先生(西洋史)も参加され、学生さんと一緒に写字生体験を楽しまれていました。

羊皮紙に文字を書く桃井先生

学生さんも楽しんでいます!


いかがでしたでしょうか。

このブログを読み、写字生体験をしてみたいな…と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
学生さんたちの間でも大人気のようで、当初の予定を変更して、体験会開催回数が増えました!
体験してみたいと思った学生さんは坂田先生にお問い合わせください!


個人的には木簡に文字を記したり、粘土板に楔形文字を刻んでみたいなと思ったりしています。
文化史学科の先生方、ぜひ、新たな企画をお願いいたします!







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