「死生学」授業内講演のご報告

 文化史学科研究室です。

今日は「死生学(井上まどか先生ご担当)」の授業でおこなわれた授業内講演について紹介いたします。


死生学は今年度からスタートした新しい授業です。

シラバス(授業内容の紹介が乗っている冊子)によると、「死生学とはなにか。宗教学・哲学・美術史学・医学・法学・社会学にまたがる死生学の概要について学ぶ。死生学について、①他界をめぐるイメージ(美術史・宗教学・哲学)、②現代医療と死生学、③死と向きあう社会という3つのテーマから理解を深める」授業をおこなっています。


そんな死生学の授業で10月29日、11月22日、29日の3回に分けて、授業内講演が開催されました。

10月29日は文化史学科の高野禎子先生による講演。テーマは「墓地の燈塔ランテルヌ・デ・モール —中世の光と死—」でした。

11月22日と29日は東京大学名誉教授の鶴岡賀雄先生をお迎えし、「他界をめぐるイメージ:諸宗教の死後世界観」「他界の表象:ダンテの『神曲』を中心に」というテーマでご講演いただきました。

講演中の鶴岡先生

授業を受講している学生さんから感想が届きましたのでご紹介いたします。


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【高野禎子先生の講演】

高野先生の講演会では、ランテルヌ・デ・モールについて学びました。ランテルヌ・デ・モールとは、フランス中西部の墓地にある石の灯塔で、近くの教会と似たデザインで造られています。中は空洞のため、ランプに火をつけ上へあげます。これは死者に明かりを灯してあげる風習で、庶民のためのものとされています。

この講演の中で、死者と光の関係性について一番印象に残りました。日本でも「火」や「明かり」はただの照明器具ではなく、お盆に迎え火、送り火を行い、霊が迷わないように目印として火を焚く風習があります。また、ゾロアスター教は火を神聖視していたりと、火は実際に見えて存在している人間と実際には見えないが存在している霊や神を繋げる役割があることが分かりました。そして、世界中が「火」や「明かり」に意味を見いだし、様々な行いがなされている点が興味深かったです。

(文化史学科1年生 Tさん)


【鶴岡賀雄先生のご講演】

鶴岡先生は、2回に渡り「他界をめぐるイメージ、他界の表象」というタイトルで、授業をしてくださいました。

第1回目は「死生学とは何か」「死とは何か」「人類の死との関わり方」についての内容でした。特に、講義内での「死者を無に帰してはならない」という鶴岡先生のお言葉がとても印象的であり、そこから、私たちの普段の生活においても「死」はすぐ近くにあり、それをどのように捉えるかが重要であると、講義を通して学びました。

第2回目では「仏教の他界のイメージ」「キリスト教の他界のイメージ」「ダンテ『神曲』による形象化」について講義をしてくださいました。他界のイメージについては、地獄や天界がどの様な構造であったか、その背景にはどの様な人々の願いがあったのかをお話くださいました。また、ダンテの『神曲』に描かれたあの世の様子やそれぞれにどの様な意味があるのかを教えてくださり、是非一度読んでみたいと思いました。

(文化史学科2年生 Sさん)

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高野先生、鶴岡先生の話を通じて、様々な発見があったのではないでしょうか。

「死生学」の授業はいかがでしたか。

来年度もたくさんの学生さんが「死生学」について学べますように…。





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