スイーツの文化史:ウィーンとカフェ ーザッハートルテー

 文化史学科研究室です。


清泉女子大学には卒業生が運営する「清泉カフェ」があり、様々な手作りお菓子やピザが並びます。そんなカフェで後期の終わりに「ザッハートルテ風ケーキ」が販売されました!

ザッハートルテ風?
そもそも、「ザッハートルテ」ってどんなケーキなんだろう…
ウィーンを旅した時に食べたけど、実は詳しく知らないかも。

ウィーンと言えば、大井先生(西洋史)!

先生!ザッハートルテってどんなケーキなのですか?
あと、ウィーンのカフェ事情についても教えてください!

ザッハートルテ 

ザッハートルテのルーツは19世紀の前半にさかのぼります。
当時のオーストリア帝国宰相メッテルニヒの見習い料理人であったフランツ・ザッハーが考案したと伝えられています。ザッハートルテの販売権と商標をめぐっては、過去にザッハーとデーメルの熾烈な法廷闘争がありました(このあたりの話は元祖・八つ橋をめぐるひと悶着と似ていますね)。
いろいろと紆余曲折があったものの、ザッハートルテは今日ウィーン市内のどのカフェでも味わえる逸品となっています。
調理法や味は店によって微妙に異なりますが、「元祖(Original)」を唯一名乗れるカフェ・ザッハーのそれはやはり特別な味わいです。濃厚なチョコレートにアプリコットのアクセントが加わり、甘さと酸味が絶妙なハーモニーを醸し出すザッハートルテ。お皿に添えられた無糖のホイップクリームで甘さを自分好みに整えられるところも魅力です。

カフェ・ザッハーのザッハートルテ


ウィーンのコーヒー 
ウィーンはコーヒーのヴァリエーションが豊富なことでも有名です。
ザッハートルテをお気に入りのコーヒーと合わせて楽しむこともできます。たとえば、定番のミルク入りコーヒー「メランジェ」、濃いコーヒーにホイップクリームが乗った「アインシュペナー」(「ウィンナ・コーヒー」の名前で日本でも人気があります)。もちろんザッハートルテは普通のブレンドコーヒーやエスプレッソとも相性抜群です。

カフェ・モーツァルトの
モーツァルトトルテとメランジェ

ウィーンのカフェ事情 

ほかにも、オーストリアには日本人好みのスイーツが盛りだくさんです。多種多様で色とりどりのケーキ、濃厚なチョコレート、アップルパイなどが街にあふれています。
ウィーンといえばカフェの街としても有名です。市内には個性的な名店が立ち並び、ザッハーやデーメル以外にも、ツェントラル、モーツァルト、ゲルストナーなどの老舗が中心部に軒を連ねています。店内の雰囲気や内装も店ごとに味があって一見の価値があります。
デーメルやゲストナーなどハプスブルク家御用達の店には、双頭の鷲の紋章が飾られていますので外装にも注目してみてください。
物価高や円安の影響で値は張りますが、時間を気にせず好きなだけ滞在できるため、観光の息抜きにカフェへ寄ってみるのはいかがでしょうか。(時期や曜日によっては店の前に長い行列ができていることもあるため、ウェブで予約をしてから行きましょう)

 ゲルストナーの店内
ショーケースには美味しそうなケーキが並びます


 ゲルストナーの店内:
フランツ・ヨーゼフなど皇室関連の絵や古い書が
飾られています

イギリスの伝統的なお菓子:ヴィクトリアサンドイッチケーキ 

さて今回清泉カフェにザッハートルテ風のケーキが並びました。清泉カフェでは以前ヴィクトリアサンドイッチケーキも販売されていましたが、こちらも19世紀にルーツを持つイギリスの伝統的なお菓子です。イギリス帝国の全盛期を築いたヴィクトリア女王のお気に入りとされる由緒あるスイーツ。
こちらは紅茶ととともに午後の一息といきたいところです。

清泉カフェで販売された
ヴィクトリアサンドイッチケーキ

これからも清泉カフェで西洋の食文化を美味しく堪能してみてください。









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