プラハ・ウィーン研修旅行 講演会

文化史学科研究室です。



大学院生が作成したポスター
先日ご紹介しましたプラハ・ウィーン研修旅行、今回は講演会の様子をご報告いたします!


7月5日(金)、チェコ出身のホリー・ペトル先生(早稲田大学演劇博物館招聘研究員、実践女子大学短期大学部兼任講師)による「チェスキー・クルムロフ城内劇場のバロック的空間と歌舞伎」と題し、講演がおこなわれました。


研修旅行に参加する学生30名、大学ホームページやホリー先生のホームページをご覧になられた方々が参加され、ホリー先生の流暢な日本語による講演を熱心に聞いていました。


講演会の内容についても研修旅行に参加する学生から報告が届いていますので、ご紹介いたします。


***

7月5日金曜日。この日、ホリー・ペトル先生による講演会『チェスキー・クルムロフ城内劇場のバロック的空間と歌舞伎』が開かれました。まずチェスキー・クルムロフ城とバロック建築の歴史についての説明を受けたあと、城内劇場の特徴を歌舞伎と比較しながら学びました。
ホリー先生の講演会を聞く学生たち

チェスキー・クルムロフはヴァルタヴァ川(モルダウ川)の近くに位置します。チェスキーとは「チェコ」という意味で、またクルムロフは川の湾曲部の湿地帯を意味します。

城内劇場の特徴はそのままの姿であることです。18世紀の面影をそのまま残し修築されています。劇場内に現代の設備をつけることもありません。しかしその歴史は単純なものではありませんでした。

城内劇場について説明されるホリー先生
チェスキー・クルムロフはドイツ系の人々が多数居住していましたが、第2次世界大戦によってドイツ系住民は追放されました。そのため、1945年以降チェスキー・クルムロフは荒廃状態にあり、この地には全く土地勘のない人々が移住させられました。しかし1989年11月17日のビロード革命によりチェスキー・クルムロフの美しさが再認識されます。この講演会で、チェスキー・クルムロフ城が一度廃されたにもかかわらず、この美しさを私たちが観ることができるのは、現在の城内劇場の総支配人であるパヴェル・スラフコ氏、またそれに携わる人たちのおかげなのだと知りました。


歌舞伎との比較
歌舞伎とバロック演劇の比較では、相違点や共通点について学びました。歌舞伎は観客と役者の距離が近く、現実感を表します。バロック演劇は観客と役者の間には見えない壁があり、幻想的な美を表すという特徴があります。このように、歌舞伎とバロック演劇が披露する演技法には違いがみられますが、一方で1905年の『真夏の夜の夢』というバロック演劇と『妹背山』という歌舞伎のそれぞれの作品では波の動きの表現方法が似ています。このように、歌舞伎とバロック演劇を比較することで、日本とチェコの国を越えての違いはあるけれど、一方で似ている部分もあるのだと気付かされました。

研修旅行の訪問先である、私たちが美しいと感じる建造物の歴史を知り、そしてそれが今も私たちの目で観ることができるのは、それを支える人々がいるためであることをしっかり理解する。このようなことを考えながら現地を訪れることにより、新たな発見があるのではないかと思います。


講演会担当学生よりホリー先生に花束が贈られました














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