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芸術の秋・博物館、美術館へ

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文化史学科研究室です。 先日、ミュージアム見学ツアーの第2弾が開催されましたので、ご報告いたします。 なんと、今回は学生さんからの発案で企画された【石野先生と巡る!東京国立博物館 東洋館見学ツアー】です! 大学内に掲示したポスターを見て集まってくださった約20名の学生さんと、福留真紀先生にもご参加いただき、東京国立博物館の東洋館を訪れました。 上野公園内にある東京国立博物館では時期ごとに様々な企画展も行われており、本館や平成館を訪れたことがあるという方も多いと思います。 その中で、東洋館は、「東洋美術をめぐる旅」をテーマに、朝鮮半島からエジプトまで、アジア各地の美術工芸品や考古遺物を展示している博物館です。 どのようなツアーだったのでしょうか?企画をしてくれた2名の学生さんにインタビューしました。 ①今回の見学ツアーを企画したきっかけや理由を教えてください。 昨年度の文化史学特別演習で石野先生とご一緒した際、先生が博物館の展示や建築物について丁寧に解説してくださり、一緒に考える時間がとても面白く印象に残ったことがきっかけです。 今回のツアーで訪れた東博東洋館は、以前個人的に見学した際に展示されている作品がどのような背景で作られ、使われてきたのかがわからず、興味はありつつも十分に楽しめなかったことがあります。また何人かの友人に東洋館について聞いてみても、実際に展示を見たけれど、よくわからなかったという意見や、行ったことがないという声もあり、訪れるきっかけになれば良いなと思いました。 こうしたことから、石野先生と一緒に東博をまわることで、展示や作品の背景を学び、博物館をより楽しむことができるのではないかと考え、このツアーを企画しました。 なかなか行くことがなかった東洋館について石野先生と一緒に行きたいと思ったことがきっかけです。 たしかに、印象的な外観の東京国立博物館本館や、企画展が催される平成館を訪れたことはあっても、東洋館って?どの建物だったかな?何が展示されているのかな?という感じで、見学したことが無い方も多いかもしれません。 清泉女子大学ではキャンパスメンバーズに加盟しており、学生証を提示すれば東京...

スイーツの文化史:ハミングバードケーキとジャマイカ

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文化史学科研究室です。 実は夏期休暇に入る前に、カフェに可愛い名前のケーキが並んでいました! その名も「ハミングバードケーキ」!鳥が歌っちゃうくらい美味しいケーキなのかしら? 皆さんも気になりますよね。 ハミングバードケーキ ハミングバードケーキ   カリブ海地域に位置する国ジャマイカが発祥のケーキです! バナナ、パイナップル、クルミが入ったケーキで、ほんのりシナモン味。ケーキの上にはクリームチーズが乗っています。夏らしい、トロピカルなお味のケーキでした。 ハミングバードケーキ ジャマイカと言えば、カリブ海! カリブ海と言えば海賊!! 海賊と言えば桃井先生!!! 桃井先生! 清泉カフェにジャマイカのケーキが売っていました! 先生はジャマイカに行かれたことはありますか? ジャマイカってどんな国ですか? カリブ海と海賊の関係について教えてください!! ジャマイカを訪れたのはいつですか? いまからだいたい10年前(2015年頃)でしょうか。 カリブ海の海賊史研究・調査のために訪れました。 ジャマイカはどんな国ですか?   ジャマイカはカリブ海にある島国です。中央部には山脈が連なり、面積は約1万平方キロメートル、岐阜県とほぼ同じ大きさの島です。 みなさんのイメージするジャマイカは、やはりレゲエでしょうか。伝説的なレゲエのミュージシャンのボブ・マーリーはジャマイカを代表する人物です。また、陸上選手のウサイン・ボルトもジャマイカの出身で、国民的英雄として有名です。 イメージ通りの南国、明るい国ですが、一方で貧困など社会問題も抱える途上国です。 ヨーロッパ人がジャマイカ島を「発見」したのは、1494年コロンブスの第2次航海でした。 以後、スペイン人が入植しますが、ジャマイカからは金や銀が出なかったので、スペイン人たちは金銀を求めて南米へ移っていき、ジャマイカ島は空白地帯となりました。そこへイギリスの海賊たちがやって来て、占領するようになりました。 その後、イギリスとスペインの紛争を経て、1670年に正式なイギリス領植民地となります。その後、海賊の拠点になるのですが、18世紀に入ると、イギリスは三角貿易の妨げとなることから、ジャマイカ島から海賊たちを排除し、サトウキビのプランテーション経営が盛んになりまし...

発展講義3・短期研修4 「伊勢神宮・斎宮をめぐる旅」

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 文化史学科研究室です。 夏期休暇中に「伊勢神宮・斎宮をめぐる旅」が開催されました! 科目名:発展講義3・短期研修4(文化史・国内) 行 先:三重県伊勢市 日 程:2025年9月23日(火)~25日(木) 同行教員:中野渡俊治先生(日本史)、坂田奈々絵先生(聖書学) 参加学生:26名 9月23日(火) 13時に宿泊先ホテルロビーに集合し、豊受大神宮(外宮)を拝観、式年遷宮記念せんぐう館を見学しました。 外宮の鳥居をくぐると、空気が変わった気がしました。自然と背が正される…そんな感覚になりました。 せんぐう館は2012年に創設された新しい施設です。展示、映像展示から遷宮の全容がわかる博物館です。 豊受大神宮(外宮) 9月24日(水)   この日は一日博物館めぐりです。 午前中は斎宮歴史博物館を見学。近鉄伊勢市駅から乗った電車が海の中!を模した電車で、ちょっとだけテンションが上がりました。 車内に1匹だけいるフグを見つけることができると福が訪れるそうです! 斎宮駅を降りると目の前には斎宮跡が広がります。中野渡先生の解説を聞きつつ、復元された古代伊勢道を通り博物館へと向かいます。 博物館では学芸員の松田茜さんの解説を聞き、斎王に関する映像展示を全員で見ました。その後、各自、自由に見学となりました。土器を古い順に並べ替える展示では中野渡先生が全問正解されたとか…。 斎宮博物館 伊勢市駅へ戻り、ランチタイムです。数名の学生さんと一緒に伊勢うどんをいただきました! 午後は皇學館大學佐川記念神道博物館と神宮徴古館・神宮農業館を見学しました。 神道博物館では佐野真人准教授の解説で館内を見学しました。神饌の展示が興味深く、器に盛られた切り身の魚を見分けるために魚の鰭を刺したことが「刺身」の語源になっていると知り、驚きました。 神宮徴古館と神宮農業館は神道博物館と道路を挟んで反対側にあります。坂道を登っていくと洋風の建物が見えてきます。こちらが神宮徴古館です。伊勢神宮の歴史と文化を知ることができます。 皇學館大學佐川記念神道博物館 神宮徴古館と神宮農業館 見学を終えた一行は夜ご飯を食べに伊勢の街へと出かけていきました。 9月25日(木)   伊勢研修もあっという間に最終日です。朝から皇大神宮(内宮...

文化史学会・文化史学科共催講演会 「ギリシア神話における女性的なるものー女神、ニンフ、人間、そして怪物ー」開催報告

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 文化史学科研究室です。 10月9日(木)、文化史学会・文化史学科共催講演会が開催されました。 今年は「ギリシア神話における女性的なるものー女神、ニンフ、人間、そして怪物ー」と題し、和光大学名誉教授 松村一男氏にご講演いただきました。 会場となった240教室には在学生、卒業生、教職員、一般の方を含め100名を超える方が集まり、先生の講演に耳を傾けていました。 講演中の松村先生 講演では、神話に「世界の創造」「完成」「維持」の三段階があると想定、ギリシア神話における女性的な存在を体系化し、お話いただきました。「神話」とは、現実と違う仮構の物語であることなど、現代におけるギリシア神話の受容のされ方等、先生のご考察は大変興味深く、勉強になりました。 質疑応答の時間にはたくさんの質問が寄せられ、あっという間に時間は過ぎていきました。 講演会終了後は会場を本館2階022教室に移し、茶話会が開催されました。和やかな雰囲気の中、集まった方々とギリシア神話について意見交換をおこないました。松村先生からはギリシア神話の女神研究をするに至った経緯などを伺いました。こちらもたくさんの学生さんが参加し、松村先生を囲んで充実した時間を過ごすことができました。 講演会に参加された方々に質問をしてみました! 「印象に残った女神、ニンフ、人間、怪物は誰ですか?その理由も教えてください」 パンドラ    「パンドラの箱」という言葉を聞いたことがあったので、パンドラって何だろう…と思っていました。そのパンドラの話がとても印象に残りました。 「すべての神々からの贈り物」であり、最初の所税であるところが印象に残りました。大学ではキリスト教の創世記に登場するエヴァが人類最初の女性としてよく名前が挙げられているので新鮮でした。神々からの贈りものであるパンドラがとても美しい存在だったから、男は女に夢中になるものなのだという説明が面白いと思いました。 ヘレネ(人間) トロイアの王子であるパリスがスパルタの王女ヘレネを連れ去ったことがトロイア戦争の原因となりました。ヘレネが最高神ゼウスの娘だったことは知らなかったので、印象に残りました。 西洋史概説でトロイア戦争の話を聞いていて、講演会前から知っていて、より理解ができたから! ヘスティア 「...

文化史学特別演習・短期研修3 南ドイツ研修旅行のご報告!

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 文化史学科研究室です。 暑い日々が続いた9月、文化史学特別演習・短期研修3の授業が南ドイツで開催されました。 科目名:文化史学特別演習・発展講義3(文化史・国外) 行 先:南ドイツ ミュンヘン 日 程:2025年9月2日(火)~10日(水) 引率教員:木川弘美先生(西洋美術史)、佐々木守俊先生(日本美術史) 参加学生:34名 9月2日(火)   早朝、学生達は羽田空港に集合、直行便で研修地ミュンヘンへと飛び立ちました。約14時間のフライト。ミュンヘン到着後はホテルへ直行し、翌日からの研修に備え、ゆっくり休みを取りました。 9月3日(水)   この日は丸一日かけて、ルートヴィッヒ2世の足跡をたどる1日ツアーが開催されました。 ホテルを出発後、バスはリンダーホフ城に到着。ビーナスの洞窟や宮殿内を見学しました。 お昼にはホーエンシュヴァンガウに到着し、お昼ご飯にSchweinebratenをいただきました。 お腹が満たされた後、ノイシュヴァンシュタイン城を見学。お天気にも恵まれ、お城を一番美しく見ることができるスポットへと移動しました。青空のもとに建つノイシュヴァンシュタイン城、皆一斉に写真を撮っていました。 左:リンダーホフ城、ランチに食べたSchweinebraten 右:ノイシュヴァンシュタイン城 9月4日(木) 研修3日目は自由行動です。各グループに分かれ、事前に下調べをした場所を訪れました。 公共交通機関を使っての自由行動、ドキドキだったのではないでしょうか。 ニンフェンブルクまで行ったグループをご紹介します! 木川先生おススメの場所ということで、行ってきました。ニンフェンブルクはとても広く、城、馬車博物館を一日かけてじっくり見学しました。 左:ニンフェンブルク城附近の街並み  中央:ニンフェンブルク城  右:馬車博物館 9月5日(金)   第二次世界大戦の歴史を学ぶ日です。ダッハウ強制収容所を訪れました。 戦争の爪痕が残る強制収容所、お天気も雨だったことも影響し、空気が重く感じられました。博物館、ガス室、教会等を見学しました。 ダッハウ強制収容所を後にした一行はミュンヘン市内に戻...

「東京と鹿児島 二つの島津邸をめぐる近現代」に狐塚裕子名誉教授が登壇されます!

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 文化史学科研究室です。 シンポジウムのご案内です。 文化史学科元教授の狐塚裕子先生が登壇されます! 東京と鹿児島 二つの島津邸をめぐる近現代 清泉女子大学人文科学研究所ならびに鹿児島大学法文学部附属「鹿児島の近現代」教育研究センターでは「東京と鹿児島 二つの島津邸をめぐる近現代」と題し共同シンポジウムを開催いたします。 島津本家があった清泉女子大学の地と鹿児島の本邸のあった鹿児島市磯―ふたつの島津邸を通して、島津家の歴史や島津家に関わった人々、島津家の行った事業などについて考えるとともに、多くの鹿児島出身者が活躍の舞台とした東京と鹿児島の繋がりについて考え、将来を展望します。 どなたでもご参加できますので、ふるってお申し込みください。入場無料です。 日時:令和7年11月8日(土)13:30~17:30 会場:東京会場「清泉女子大学 1号館4階140教室」(定員200名)    鹿児島会場「尚古集成館 講堂」(定員25名)    オンラインZOOMウェビナー 講演: 「近世・近代鹿児島の島津邸」 小林善仁氏(鹿児島大学法文学部准教授) 「袖ヶ崎屋敷の変遷ー仙台伊達藩から鹿児島島津家へー」 狐塚裕子氏(清泉女子大学名誉教授) 「近代建築史の中の旧島津家本邸」 石田潤一郎氏(武庫川女子大学教授、京都工芸繊維大学名誉教授) 「大名華族島津家の家政と二つの邸宅ー袖ヶ崎島津邸と磯島津邸を中心にー」 寺尾美保氏(立教大学特任准教授) 討論:「東京都鹿児島が交流しながら、島津家および島津邸の歴史をいかに伝え、未来に活用していくか」 入場無料、申し込み必要   東京会場・オンラインZOOMウェビナー申し込み   専用フォームにアクセスし、必要事項を記入の上お申し込みください   申し込みフォーム:   鹿児島会場申し込み   メールもしくはお電話でお申し込みください   メール:kingendaijim@leh.kagoshima-u.ac.jp   TEL:099-285-7532(担当:佐藤、江) 応募締切:2025年11月7日(金)17:00まで(各会場、定員に達し次第応募を締め切らせていただきます)

「歴史ミュージカルの世界」特別補講開催!

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文化史学科研究室です。 夏休み期間中の9月25日(木)に「歴史ミュージカルの世界」特別補講が開催されました。 「歴史ミュージカルの世界」(担当:大井知範先生)は総合文化学部の1~4年生(注・2025年度の総合文化学部は1年生のみ在籍)が履修できる科目です。 普段は文化史学科の学生さんは履修することが出来ない科目ですが、文化史2~4年生の熱いリクエストもあり、 自由参加のイベントとして特別補講が開催され、 文化史学科生と総合文化学部の1年生合わせて 33名が参加する盛大なイベントとなりました。 プログラムは2部構成となっており、前半はミュージカル『エリザベート』 全編の映像観劇、休憩をはさんで後半は学生プレゼン大会、トークセッション&全体討論会が行われました。 これまでも何度か行われていた特別補講でしたが、 学生さんのプレゼンが加わったことでさらに活気あふれるイベントへとパワーアップしました。 『エリザベート』に登場する人物や場面にフォーカスし、史実と比較しながらそれぞれに深い考察を。聞きごたえのあるプレゼンでした。 特別講義を受講して色々知りたいことが沸いてきました。ということで、オーストリア近代史をご専門とされていて、歴史ミュージカルにも造詣が深い大井先生にお話を伺いました。 大井先生にインタビュー! 日本でも皆さんがエリザベートに魅了されており、ミュージカル『エリザベート』のチケットも非常に入手困難となっていますが、史実のエリザベートは本国・オーストリアではどのような評価をされているのでしょうか? ウィーンでは劇中にもあるように、エリザベートに関するグッズが数多く売られていますが、ミュージカルになる前から人気があったのでしょうか?? シシィ人気に最初に火をつけたのは、1955~ 57年の映画プリンセス・シシィ三部作ですので、 ミュージカル以前から現地でもそれなりに人気がありました。 ただ、この映画は可愛らしいお姫様イメージが強すぎて、 リアルなエリザベートからはだいぶ離れていたので、 1992年のミュージカル『エリザベート』 がより実像に使いシシィを描くことになりセンセーションを起こし たと思います(女性解放時代の流れにも乗って)。 ちなみに、このミュージカル『エリザベート』 は当初は劇...